腸内フローラ改善のため、サプリやヨーグルトを摂取しているという人は多いと思いますが、その乳酸菌はちゃんと腸に届いて効果を発揮しているのでしょうか?
あまり効果が現れなくて悩んでいる方、ミヤリサンという整腸剤をご存知でしょうか。
乳酸菌とは別の菌が腸内フローラ改善に高い効果が期待できるのです。それってどんな菌なのでしょうか?ミヤリサンについて徹底解説します!
目次
ミヤリサンって何?
まずは、ミヤリサンの基礎知識からみてみましょう。
ミヤリサンの有効成分は菌!
ミヤリサン錠はミヤリサン製薬株式会社から販売されている消化整腸薬で、「宮入菌」という菌が含まれています。
宮入菌とは、増殖に酸素を必要とせず、環境が悪化しても生きられる耐久性の高い酪酸菌のMIYARI株のことです。
ミヤリサン錠に入っているものは?
ミヤリサン錠に含まれる成分・原材料は、18錠(15歳以上の1日量)中に宮入菌末が180mgとなっており、添加物として乳糖、トウモロコシデンプン、タルク、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、白糖、が入っています。
添加物は錠剤を成形するために加えられているもので、有効成分はございません。
ミヤリサン錠を飲む目的は?
ミヤリサン錠の効能・効果には「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」と記載があります。お腹の調子を整えたいときに飲む薬ということですね。
ミヤリサン錠の特徴は?
宮入菌は芽胞を作る菌で、環境が悪くなると硬く厚いカラで自らを覆って生き延び、環境が良くなると植物のように発芽し、増殖を始めます。
このようにして腸内で増殖した宮入菌は、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸)やビタミンB群を産生するのだそうです。
整腸剤の使用に不安がある方はこちらのページもご覧ください。
>>その不安、大正解!整腸剤の秘密
酪酸菌(宮入菌)ってどんな菌?
では、宮入菌とはどんな特徴を持った菌なのでしょうか?乳酸菌との違いについてもみてみましょう。
発見の経緯
宮入菌はミヤリサン製薬の創業者である医学博士の宮入近治博士によって1933年に人の腸管から発見された菌で、消化管の病原体に対して強い拮抗作用がある酪酸菌として報告されました。
その後の研究で、人のみならず動物にも効果を発揮することがわかり、現在は動物用の飼料や医薬品としても用いられています。
宮入菌の特性4つ!乳酸菌との違いは?
まず、宮入菌の特性を4つご紹介します。
特性1 : 熱に強い
芽胞となった宮入菌は高いバリア機能と耐熱性を持つようになります。ミヤリサン製薬によると
- 80℃では30分
- 90℃では10分
の間、全ての菌株が生存し、さらに
- 90℃20分では95%
- 100℃5分では30%
もの生存率との実験結果が報告されています。
特性2 : 抗生物質に強い
抗生物質は菌を死滅させたり、菌の発育を抑える薬で、一般的な細菌は抗生物質によって死滅してしまいます。
しかし、芽胞となった宮入菌は抗生物質と一緒に投与しても死滅することなく、単独で投与した場合と同様に腸で増殖するという、強い菌だということですね。
特性3 : 胃液に強い
人の胃液は強い酸性で、多くの細菌は生き延びられる環境ではありませんが、芽胞となった宮入菌は影響を受けないため、腸までしっかり届くということになります。酸に強いのも、宮入菌の特徴なのです。
特性4 : 安全
宮入菌は、
- 経口投与可能な最大量の投与でも中毒なし
- 内臓にダメージなし
- 副作用なし
と言うことで、乳児でも飲める安全性は大きな特徴となっています。ただし、薬の成形に使用している乳糖は牛乳でお腹を壊す人が飲むと下痢することもありますので、飲み方には注意する必要があります。
整腸剤は薬よりに位置づけられますが、そこに不安を抱えている方は下記ページを見てみると良いでしょう。
>>整腸剤を使用している方、これから使用しようと考えている方へ
《乳酸菌との違い》
宮入菌に比べて一般的な乳酸菌は、熱・抗生物質・胃液などの環境に弱く、経口投与されたあとに腸まで生き延びる数はごくわずかだといわれています。
芽胞を形成できる宮入菌は、乳酸菌に比べて腸まで生きて届く確率が高いということが、違いだと言えます。
ミヤリサン錠は腸でどんな働きをしているの?
腸にたどり着いたあとの宮入菌にはどのような働きがあるのでしょうか?具体的な実験例とともにご紹介します。
高い増殖能力がある!
宮入菌を経口投与すると、芽胞を作りながら腸へ達し、発芽・増殖して酪酸や酢酸といった短鎖脂肪酸やビタミンB群を産生します。
短鎖脂肪酸が増えると悪玉菌の働きを抑制することができるほか、大腸細胞のエネルギー源となって腸の機能を高めることができます。
ミヤリサン製薬の実験によると、宮入菌をラットに経口投与したところ、30分後には小腸上部から中部で発芽し、2時間後には小腸下部で増殖を開始していたそうです。さらに5時間後には、胃から大腸にかけて広範囲で存在していたということです。
つまり宮入菌は腸へ多く届くことができるうえに、増殖能力が高く、短鎖脂肪酸をたくさん産生できるというわけですね。
腸内フローラを整える!
過敏性腸症候群は、ストレスなどで下痢を繰り返しやすいものですが、腸内フローラのバランスが崩れていることが原因の一つとされています。腸内フローラは、別名「腸内細菌叢」とも呼ばれます。
ミヤリサン製薬によると、過敏性腸症候群の人は健康な人と比べて腸内の善玉菌が少ないことがわかり、宮入菌製剤を投与したところ腸内フローラが健康な人と同程度に改善されたという実験があります。
増殖した宮入菌が腸内フローラを整える働きをしているのがわかりますね。
腸内フローラを整える整腸剤で有名なものは他にもあります。興味のある方は、下記ページも合わせてお読みください。
病原性細菌の増殖を抑える!
食中毒や感染症を起こす菌にはコレラ菌やサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌O-157などがありますが、ミヤリサン製薬によると、これらの腸管病原性細菌と宮入菌を試験管内で混ぜて培養したところ、腸管病原性細菌の増殖が顕著に抑えられていたのだそうです。
宮入菌は腸に良い短鎖脂肪酸をたくさん産生して腸内フローラを整えるだけでなく、悪い菌を抑える働きまで持っているとは驚きです。
(出典:ミヤリサン製薬株式会社http://www.miyarisan.com/probiotics.htm)
ミヤリサンシリーズ
ミヤリサンと一言に言っても、その種類は様々です。主成分は「宮入菌」で同じですが、様々なアレンジがございます。どれもドラッグストアや通販で購入できるものです。ご自分や、周りの方に合ったミヤリサンがあるか、チェックしてみましょう。
新ミヤリサンアイジ整腸薬 | ミヤリサン(錠) | 強ミヤリサン(錠) | ミヤリサン-W | ミヤリサンU錠 | |
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成分 | 宮入菌末
ビタミンB2 ビタミンB6 |
宮入菌末 | 宮入菌末 | 宮入菌末
パンクレアチン ポリパーゼ1000 ジアスメンSS セルラーゼAP3 |
宮入菌末
ウルソデオキシコール酸 |
新ミヤリサンアイジ整腸薬
パッケージに描かれていることから、赤ちゃん用のミヤリサンだと分かりますね。実際の対象は3ヵ月以上の乳幼児から成人までですので、どの年代でもOKです。赤ちゃんの便秘を心配するお母さん世代に重宝されている整腸剤です。
宮入菌だけでなく、赤ちゃんの成長には大いに役立つビタミンB群が入っています。健康な皮膚や粘膜を保つためにも必要な成分です。
赤ちゃんへの飲ませ方
新ミヤリサンアイジ整腸薬は、粉末の製品です。赤ちゃんへの飲ませ方ですが、オススメしないのは粉ミルクに溶かして飲ませるということです。それは、赤ちゃんがミルクに違和感を覚え、ミルクを飲まなくなってしまう可能性があるからです。
赤ちゃんへ飲ませる際は、白湯にとかしたり、舌の裏側につけてみたりしてください。ミルクとは別物だと、分かってもらいましょう。
ミヤリサン(錠)
ミヤリサンシリーズの基本中の基本、最もベーシックな錠剤ですね。
ベースではありますが、例えるならばミヤリサンアイジからビタミンB群を取り除いて、タブレット状にしたものです。強ミヤリサン(錠)との違いは、宮入菌の含有量で、3分の1量になっています。
強ミヤリサン(錠)
たいていのドラッグストア、ネットショップで取り扱いのあるのが強ミヤリサン(錠)ですね。基本のミヤリサンは品切れで、ミヤリサンと言えばこちらがポピュラーになっているようです。成分は宮入菌だけです。
コスパが良いのはドッチ?
売れ行きは“強”の勝ちですが、コストパフォーマンスが良いのはどちらでしょうか。宮入菌の含有量から計算しました。
ミヤリサン(錠) | 強ミヤリサン(錠) | |
---|---|---|
価格 | 630錠1,296円 | 330錠2,592円 |
1日量(15歳以上) | 18錠 | 9錠 |
宮入菌含有量(1日量) | 180mg | 270mg |
宮入菌1mgの価格 | 0.20円 | 0.26円 |
なんとも、意外な結果が出てしまいましたね。
私たちは【宮入菌】という菌を買っているわけです。それを考えたら、ミヤリサン(錠)を購入したほうがお得だという結果になりました。
つまり、ミヤリサン(錠)を購入して、“強”に入っている分を飲めば、お財布に優しく腸内フローラも整えることができるということです。
もしミヤリサン(錠)を購入して“強”として服用されたい場合は、1日量を18錠から27錠に増やすことで対応可能です。
- 1日当たり55円:ミヤリサン(錠)で強ミヤリサン(錠)対応
- 1日当たり70円:強ミヤリサン(錠)を服用
15円もの差があります。ここまで開きが出るのは驚きですね。飲み込む錠剤の数が増えるのが億劫ですが、お得に腸内フローラを改善したい方には向いているでしょう。
ミヤリサン-W
ネットでも取り扱いがほとんどなく、お見掛けするのが難しいミヤリサン-Wの効果を見てみましょう。
宮入菌以外は、たんぱく質・脂肪・でんぷん・食物繊維の消化を助ける成分が配合されています。パッケージにもありますが、食べ過ぎによる弊害(消化不良・食欲減退)が起こった時に飲む胃腸剤だと分かります。
常備薬と言うより、即効性を求める方向けの薬剤ですね。
ミヤリサンU錠
Amazonも楽天も、在庫切れ。公式ホームページの更新も10年前。いったいどこで購入できるのか・・・。かなり疑問ではあります。
腸内環境を整える宮入菌に、胆汁の分泌を盛んにさせるウルソデオキシコール酸が入っています。胆汁には、脂肪を乳化して消化酵素の働きを助けるという役割があります。
ウルソデオキシコール酸で食べ物をしっかり消化させて、腸内環境を悪化させないようにしているんですね。
人生で使うことのできる酵素は決まっているという説が有力な今の世の中で、あえてドンドン胆汁を出すなんて、にわかには信じがたいのが正直なところです。
そもそも脂肪を日常的に食べ過ぎなければ良いと思いますし、どこで購入できるのか分からない状態でもあります。しかし、胆汁の節約も兼ねて、ウルソデオキシコール酸が入った他の薬も気を付けたほうがよさそうです。
薬効や添加物には要注意、整腸剤の危険性はこちらを参考になさってください。
>>整腸剤を徹底解剖!腸内フローラを改善するために使って良いの?
よく聞くビオフェルミンSと何が違うの?成分から比較してみた!
整腸剤として長年販売されている薬にビオフェルミンSがありますが、ミヤリサンとどのような違いがあるのでしょうか?
ミヤリサン | ビオフェルミンS | |
---|---|---|
菌の種類 | 酪酸菌(宮入菌) | G9-1ビフィズス菌
129BIO3Bフェーカリス菌 KS-13アシドフィルス菌 |
添加物 | 乳糖、トウモロコシデンプン、タルク、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、白糖 | トウモロコシデンプン、デキストリン、乳糖、沈降炭酸カルシウム、アメ粉、白糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム |
ビオフェルミンSの菌って?
ビオフェルミンSに含まれる乳酸菌は、食後の胃のphに耐えられる強さを持っているため、食後に内服することで生きて腸へ届くことができ、整腸効果が期待できます。
ビフィズス菌は主に大腸に、フェーカリス菌とアシドフィルス菌は主に小腸に住み着きます。
ビオフェルミンSとミヤリサンの違いは?
ビオフェルミンSの菌は芽胞を作ることができなくとも、生きて腸に届いて増殖して、短鎖脂肪酸やビタミンB群を産生することができる点はミヤリサンと同様です。
ビオフェルミンSが3種類の菌の特性を生かし、それぞれが定着した先で増殖して小腸から大腸の広い範囲に分布するのに対し、ミヤリサンは宮入菌のみで胃から大腸までさらに広い範囲で増殖することができます。
もう一つ抗生物質への耐性ですが、ビオフェルミンSの乳酸菌は抗生物質への耐性がないので、同時に服用すると菌が死滅してしまいます。
副作用や習慣性はある?
どちらの整腸剤も副作用はほとんどなく、ヒト由来の菌を使用しているため習慣性もありません。こういった薬剤には体質に合う・合わないがありますので、試してみて相性が良いと確信できるものを使用してみてください。
ミヤリサンの口コミは?
では、実際に飲んでみた人はどんな感想を持ったのでしょうか?ミヤリサンの口コミを一部ご紹介します。
良い口コミ | 悪い口コミ |
---|---|
脂っこいものを食べると下痢していたが、ミヤリサンを1週間飲んだ頃から快調に! | お腹がごろごろして下痢になった。 |
歯の治療後に出された抗生物質で下痢になったけど、併せて飲んだら軽く済んだ。 | 牛乳に弱いので、乳糖で下痢になった。 |
結構な便秘症ですが、飲んだ翌日から解消しました。 | 湿疹がでた。 |
毎食後に腹痛が起こるほど腸が弱かったが、飲み始めてから腹痛も下痢もなくなった。 | 便秘がひどくなり、下剤の量が増えた。 |
便秘症だったが2日に1回は出るようになった。 | 効いているかどうかイマイチわからない。 |
悪い評価のみを見てみると、逆に下痢になってしまった。という方が多いようですね。牛乳系に弱い方は別の整腸剤の方が良いかもしれません。使用に関して迷っている方は下記ページも参考にしてください。
>>整腸剤を使用している方、これから使用しようと考えている方へ
結論!ミヤリサンの成分は腸内フローラにどうなの?
ミヤリサン錠を服用すると、多くが腸に届いて胃から大腸まで広い範囲で増殖し、短鎖脂肪酸を産生します。すると腸内で悪玉菌が減少し善玉菌が増加しますから、腸内フローラが整うという結論になります。
さらに、腸内の病原性細菌の増殖を抑えて感染症から身を守ることができ、抗生物質にも負けずにその効果を発揮するのです。ミヤリサンは腸の動きを活発にして腸内環境を修復する消化整腸薬として高い効果の期待できる薬だといえますね。
ですので、薬として修復し、つまりある程度の効果を実感できるようになった時点で良い腸内フローラの維持には食品であるヨーグルトやサプリメントに切り替えていくことが大切でしょう。
ミヤリサン以外の整腸剤について興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
まとめ
ミヤリサンに含まれる宮入菌は過酷な環境に強い芽胞を形成して腸に届き、腸内フローラを整えるための高い効果が期待できることがわかりましたね。腸内細菌叢の悪化が原因で起こる炎症にも効果があるそうです。
腸内フローラ改善を謳うサプリメントはたくさん販売されていますが、医療の現場でも用いられ、長年販売され続けているミヤリサンは信頼度が高いといえるかもしれません。
乳児から高齢者、さらには動物も飲める安全性も嬉しいですね。腸内フローラ改善のため、腸の環境の安定維持を目的に試してみてはいかがでしょうか?
お年寄りから赤ちゃんまで飲むことが出来るミヤリサンは、常備薬としても重宝されそうです。