この頃、よく耳にするようになった腸内フローラ。
このフローラとは『お花畑』という意味です。もちろん、腸内にお花畑があるわけではありません。腸内フローラと同じようにお馴染になった善玉菌・悪玉菌などの細菌が棲んでいる場所ですね。「腸内フローラは寿命と密接に関係している」と言われるほどです。
ところで、チーズは栄養価が高く体に良い影響を与えると言われておりますが、チーズを摂取することで、腸内フローラにどんな影響を与えるのか・・・詳しく見ていきたいと思います。
目次
チーズとミルク、バターは栄養学的にどう違う
チーズ、バター、ミルク、これらの乳製品をひとくくりにしていませんか? 実はこの3つ、栄養学的な観点から見ると一緒ではありません。どのような違いがあるのか具体的に見ていきましょう。
ミルク
栄養バランスの良いと言われるミルク。牛乳は多くのミネラルを含んでいます。カリウム、カルシウム、リン、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルを含有しております。
ミネラルは体内で生成することができません。そのためミネラルを豊富に持っているミルクは何かと重宝され、料理を作る際にも頻繁に使われます。
バター
「チーズとバターの違いは?」と問われたら、答えるのに窮する人は意外と多いかもしれません。生乳が原料であることは、2つとも同じです。
バターは乳中にある乳脂肪を凝固させることで作られます。バターの8割は乳脂肪。その消化率は非常に高く、97%から99%が体に吸収されます。ビタミンをたくさん含んでおり、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンDなどを持っております。何とビタミンAはミルクの13倍以上も含有しています。
チーズ
生乳のタンパク質を固め水分を絞り作られるのがチーズです。1ℓの牛乳から作ることのできるチーズは、およそ100g。チーズに凝縮されている栄養素はミルクの10倍となります。「白い肉」という呼称を持つのには、このような理由があったのですね。
そしてカルシウムをふんだんに含んでいますし、発酵させて作られるので、発酵食品でもあるんですね。さらにタンパク質も多く含有しております。チーズ一個の2割から3割はタンパク質ですし、体を維持する上で欠かせないアミノ酸をも豊富に含んでいます。
悪酔い防止として、チーズ系のおつまみが好まれるのは、大量のアミノ酸があるゆえ、と言えますね。
もちろん脂質も多いチーズですが、同時にビタミンB2、ビタミンAも、たくさん含有しております。脂質を燃焼させる働きを持つビタミンB2があるので、バランスが非常に良く取れた食品なのです。ビタミンAも含んでいるため、野菜不足になりがちな人もチーズで補うことが可能です。
なぜチーズがビタミンAを多く持っているかと言えば、チーズの原料となるミルクは乳牛から採れます。牛が大量に食べる牧草は、緑黄色野菜!つまり、野菜が多く持っているビタミンAを牛が体内にたくさん摂り込んだ結果、チーズにも含まれるようになるのです。
チーズを食べるメリットは、栄養が凝縮されている分、少量の摂取で済むということです。
チーズは腸内フローラを良くすると言える!?
それでは、チーズと腸内フローラの関係についてお話ししましょう。結論から言うとチーズの摂取は、腸内フローラのバランスを整えると言えます。チーズを取り込むことで、腸内環境が改善されるので、腸自体の免疫力が高まって体質の改善へと繋がるのです。
チーズの成分がどのように腸に対して良い影響を与えるのか、ひとつずつご紹介していきましょう。
腸内フローラが好む発酵食品
チーズは代表的な発酵食品だと前述しました。
乳酸が活発に働いているため、チーズの発酵はヨーグルトよりも強力です。発酵食品をたくさん摂れば、お肌の状態が良くなると言われていますが、それは腸内環境が良くなることに繋がるからなのです。
腸内フローラと発酵食品の関係について詳しく知りたい方は、下記ページもご覧ください。
乳酸菌は腸内美化担当係
乳酸菌はグルタミン酸を生み出します。
これがチーズを熟成させることに、大きく関わっているのです。乳酸菌は牛乳がチーズになる発酵のプロセスで欠かせない成分で、『乳酸菌スターター』と呼ばれる種金があります。
乳酸菌スターターは乳酸の発酵を促して、たんぱく質を分解する働きがあり、同時に有害な微生物が増えることを防いでくれるので、人体にとってありがたい存在なのです。
フレンチパラドックス?チーズを食べ過ぎても大丈夫?
チーズが腸に対して効果的に働くことがわかりました。では大量に食べれば食べるほど、腸に対して良い影響を与えるのでしょうか?
動物性たんぱく質の摂取リミット
動物性のタンパク質を多く摂取することは、体にとって大切なことです。とは言え、あまりたくさん取りすぎるとカロリーの過剰摂取になりますし、体重が増えて生活習慣病になる危険性が高まります。
ちなみに65歳以上になると動物性タンパク質をたくさん摂った方が、健康的になるというデータもあります。ということは、高齢になるまでは、あまりチーズを大量に食べない方がいい、ということなのでしょうか。
不思議な現象フレンチ・パラドックス
フレンチ・パラドックスという現象があります。フランス人は脂肪酸の多い食事をしているのにも関わらず、冠動脈の疾患が少ないのです。
実は「チーズがフレンチ・パラドックスに関わっているのでは?」という説があります。フランス人のチーズ好きは有名。日本人には想像もつかない量のチーズを昼食、夕食に食べます。
ところが、フランス人の体内を調べると、尿の中に「TMAO」と呼ばれる腸内細菌の代謝産物が減っていき、脂質などの排泄が増えていることがわかりました。この腸内細菌の代謝産物は増えると血管や心臓の病気を引き起こすものです。
乳酸の大量摂取がコレステロールの低下に繋がり、これには脂質の代謝と腸内細菌が影響を与えているのではないかという見方をされています。
日本人の体質にチーズの多食はオッケー?
欧米人と日本人では腸の長さが違いますし、体質だって異なります。日本人はミルクに含まれる乳糖の分解が苦手と言われております。
日本人は成長していくとともに、乳糖を分解していく酵素が減っていきます。そのため乳製品を体内に入れると、すぐにお腹が痛くなるなどの症状が出やすいのです。これを『乳糖不耐症』と言います。
日本人の全員が『乳糖不耐症』というわけではありません。欧米人と比べた場合、乳糖が比較的合わないというくらいに認識しておけばいいでしょう。ですが、農耕民族であった日本人は乳製品の消化酵素が欧米人よりも少ないわけですから、あまりたくさんチーズを食べ過ぎない方がいいと言えますね。
チーズを食べながら腸内フローラも良くする簡単レシピ3つ
チーズは様々なものと組み合わせることによって、バランスの良い食材へと変化します。どのようなレシピが体を健康な状態へと導くのか見て行きましょう。
ごぼうのクリームチーズサラダ
材料は、細めのごぼう3本とクリームチーズ4つ、マヨネーズ大さじ1、塩とブラックペッパーを適量です。
まずごぼうを3センチくらいの長さに切り、次に細く縦に切って、水にさらしたあと、電子レンジで温めます。クリームチーズを耐熱皿に乗せて、レンジでとろっとするまで1分レンジで温めます。取り出したごぼうの水気を、キッチンペーパーで拭いてマヨネーズと和えます。最後は柔らかくなったクリームチーズも和えていき、ブラックペッパーと塩で味を調整します。
食物繊維たっぷりのごぼうとチーズは、大変相性が良いのです。
高麗鍋
材料は、にんじん、ごぼう、白菜、大根、青ネギなどの野菜に、牛乳、味噌、スライスチーズ、粉チーズ、キムチです。
まず白菜、ごぼう、大根、にんじんを牛乳や味噌と一緒に煮込んでいきます。そこへ細かくカットしたスライスチーズを加えてぐつぐつ煮込みます。鍋にキムチを入れて粉チーズを振って、青ねぎを散らしたら高麗鍋の完成です。
チーズとキムチという発酵食品が2つも入って、腸内フローラも満足でしょう。
キムチが腸内環境へ与える影響について詳しく見たい方は、下記記事を参考にご覧ください。
みそチーズ入り山椒おにぎり
クリームチーズを味噌につけて一晩寝かします。できあがった味噌チーズを5mmにカットします。ボウルに、味噌チーズ、ごはん、山椒を入れてかき混ぜて、あとは丸く握っていけばできあがりです。
味噌が含んでいる麹が腸内の善玉菌を増殖させるため、便秘の予防が期待できますね。
まとめ
チーズの摂取量と腸内フローラの関係について見てきましたが、いかがでしたか?
効果的な量のチーズを食べることに関しては、何の問題もありません。むしろ腸内フローラを良くする手伝いをしてくれます。
実年齢より若く見られたり、風邪を引かないという人は、免疫力が高いのです。免疫力の7割は腸で作られ、残りの3割は心で作られます。言い換えれば免疫力を司る体の部位は、ほとんど腸なのです。腸内フローラを整えていくことで、いつまでも若々しく元気で暮らすことがきっとできることでしょう。