便秘や下痢の繰り返しでお腹の調子が安定していないと、腸に集中する免疫細胞の働きが弱まり、全身の健康にもダメージを与えてしまうことが明らかになってきました。そんな中、腸内フローラを整えることの大切さが注目されています。
本記事では、乳酸菌サプリで人気が高い「善玉菌のチカラ」と、乳酸菌整腸剤のパイオニアである「新ビオフェルミンS」の比較を行いました。腸を健やかに、腸からの健康を期待する人にとって、お悩み解消パートナーに選ぶべきはどちらなのでしょうか。
目次
乳酸菌サプリ、善玉菌のチカラとは
まずは、善玉菌のチカラの成分と効果を見ていきましょう。
発売元は、煮豆やこんぶの佃煮、カスピ海ヨーグルトで有名な「フジッコ」です。善玉菌のチカラは、カスピ海ヨーグルトを構成する乳酸菌「クレモリス菌FC株」をサプリメント化したものです。
クレモリス菌FC株の働き
クレモリス菌FC株の働きを語るうえで、クレモリス菌FC株が産み出す「ねばり」は欠かすことができません。カスピ海ヨーグルトを食べたことがある人でしたら分かると思いますが、カスピ海ヨーグルトには、他のヨーグルトにはない独特のとろみ、ねばりがあります。
このねばりの正体は、クレモリス菌FC株の生産物「EPS多糖体」です。
ねばりのEPS多糖体ですが、人間の消化酵素で分解することができない物質です。体内に入ってから消化酵素が降りかかってきたとしても、EPS多糖体のねばる性質はそのままです。そうしてEPS多糖体をまとったクレモリス菌FC株は、生きたまま腸に到達することができるのです。
腸内フローラを改善するEPS多糖体
腸へ到着後は、クレモリス菌FC株は更に繁殖して、善玉菌(ビフィズス菌)が増えやすい腸内環境に近づけます。そしてEPS多糖体のねばりによって、腸内の不要物を絡ませて、排泄しやすい形にする働きもあるのです。
この働きは、水溶性食物繊維によく似ています。
クレモリス菌FC株の摂取で、ビフィズス菌の割合がグッと5倍に増加したという報告があります。善玉菌のチカラは、クレモリス菌FC株が20億個入っています。
食物繊維とカルシムを配合
水溶性食物繊維と働きが似たEPS多糖体を作るクレモリス菌FC株ですが、善玉菌のチカラは本物の食物繊維も配合しています。日本人には不足しがちなカルシウムも入っています。
ビフィズス菌を増やすことに長けた「善玉菌のチカラ」ですので、ビフィズス菌そのものを飲むよりも、腸内フローラが良好になる可能性がありそうです。口コミでも人気です。
市販の整腸剤、新ビオフェルミンSとは
ビオフェルミンは、大正6年から製造を開始していて、とても歴史の長い薬です。菌の種類や添加物などに変化させながら、現在は「新ビオフェルミンS」と名乗って発売されています。
3つの乳酸菌
新ビオフェルミンSは、3つの乳酸菌で構成されています。
- ビフィズス菌G9-1
- 乳酸菌ラクトバチルス アシドフィルス菌
- 乳酸菌エンテロコッカス フェーカリス菌
新ビオフェルミンSは、「人にはヒトの乳酸菌」というフレーズがお馴染みですよね。
ビフィズス菌G9-1は、健康なヒトの腸を研究して発見された、ヒト由来の乳酸菌であり、定着性が高いという特徴があります。飲んだら腸に長くとどまって、善玉菌として働いてくれるということですね。
乳酸菌2つは小腸で増殖して、大腸の善玉菌(ビフィズス菌)の活性化、増殖を助けてくれます。3つの菌が、小腸から大腸までを総合して監督することで、お腹の調子を整えてくれるのです。
便秘解消における臨床成績
新ビオフェルミンSにおける臨床成績は存在しません。古い薬であることから、添付文書に記載されていないようです。ただ、同じ効能の整腸剤「ラックビー」には、便秘解消に関しての実績がございます。
種々の原因による便秘症147例に対する改善効果(有効以上)は、乳幼児77.3%(17/22)、成人79.2%(99/125)の合計78.9%(116/147)を示した。
また、原因疾患別分類では、妊娠に伴う便秘92.0%(23/25)、慢性便秘68.2%(45/66)の改善効果(有効以上)を示した。
出典:ラックビー錠
服用した人の、実に80%近くは便秘の解消に成功していることから、高い整腸作用を持つことが分かりました。
こんなとき、こんな方に新ビオフェルミンS
便秘の他にも、新ビオフェルミンSのホームページには様々なトラブルに使用することができると解説しています。一部抜粋しました。
こんなとき・こんな方に | 備考 |
---|---|
食生活が乱れがちなあなたに | 肉(動物性たんぱく質)に偏った食生活や、ダイエットで食物繊維や水分が不足すると、便秘になりがちです。脂っこい食事でお腹が緩くなることもあります。バランスの良い食事と乳酸菌で、お腹の調子を改善しましょう。 |
運動不足のあなたに | 運動不足になると、便が出にくくなります。ウォーキングやスクワットなどの軽い運動にくわえて、乳酸菌で腸内フローラを整えて便秘を改善しましょう。 |
便秘になりやすいあなたに | お通じが少なくて困っているのであれば、乳酸菌を摂ると乳酸菌が作り出す乳酸が腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、乳酸菌自体が食物繊維のように働くので、自然なお通じに導きます。 |
おなかのハリが気になるあなたに | お腹が張って苦しい、恥ずかしいというあなたは、お腹の中の悪玉菌がガスを作っている証拠です。腸内フローラのバランスを改善して、ハリの原因となっているガスの発生を抑えましょう。 |
お腹のトラブルは、何かと腸内フローラがかかわっていることが分かりますし、乳酸菌を腸に送ってあげることで、改善の道を歩めるという希望が見えてきますね。
どっちを選ぶ?善玉菌のチカラと新ビオフェルミンS
善玉菌のチカラと新ビオフェルミンS、配合の菌の種類も、体内に入ってからの働きも大きく違いますが、結果として腸内フローラを整えてくれる製品であることが分かりました。
商品名 | 内容量/価格 | 1日当たりの価格 |
---|---|---|
善玉菌のチカラ | 31粒/1,550円(初回定期) | 52円 |
新ビオフェルミンS | 350錠/2,150円 | 56円 |
一日当たりの価格を見てみると、あまり開きがないですね。新ビオフェルミンSの手軽さが分かりました。価格を重視される方でしたら、どちらも腸内フローラを良好にすることは約束されていますので、定期購入が苦手な方は新ビオフェルミンSを選ばれるかと思います。
ただ、どちらも毎日飲むことで、理想の腸内フローラに近づけるためのアイテムです。長期的に体に取り込むことを考えたとき、
- 飲み続けることによる副作用はないか
という点だけは、確認しておくようにしましょう。
乳酸菌は、今いる腸内細菌との相性が良ければ高い整腸作用が見込め、相性が合わなくても副作用が起きることはまずありません。試してみて、お腹の調子が好転するか、判別しましょう。
問題は添加物にあります。菌による効果にだけ称賛されがちですが、添加物の作用も確認しなくてはいけません。善玉菌のチカラと新ビオフェルミンSの添加物を見てみましょう。
善玉菌のチカラ | 新ビオフェルミンS |
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ゼラチン、貝カルシウム、アルギン酸カリウム、ショ糖脂肪酸エステル、(原材料の一部に大豆・ゼラチンを含む) | トウモロコシデンプン、デキストリン、乳糖水和物、沈降炭酸カルシウム、アメ粉、白糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム |
カプセルと錠剤を形成するために必要な成分です。しかし、新ビオフェルミンSの成分の中に、見過ごせない成分を見つけました。沈降炭酸カルシウムです。
沈降炭酸カルシウムの作用
沈降炭酸カルシウムは、胃酸を中和する作用がある薬です。乳酸菌はデリケートなものですから、胃酸による強い酸を浴びると、破壊されてしまいます。沈降炭酸カルシウムで胃酸を中和して酸を弱めることで、乳酸菌が生きて腸まで届くようにしているのです。
胃酸の働きと中和への違和感
しかし、胃酸は、なにも意味なく強力な酸を出しているわけではありません。口から入ってきた害になるもの(ウイルスや細菌)を殺してくれ、健康維持に貢献してくれています。もし胃酸のガードがなくなってしまっていたら、私たちはもっと多くの病気にかかっていることでしょう。
そして、胃酸には、たんぱく質用の消化酵素「ペプシン」を活性化する作用があります。ペプシンの活性化ができなくなると、たんぱく質の消化が十分でなくなり、結果として消化不良が起きて、腸内フローラを乱すことにつながるのです。
副作用として出てくることは?
沈降炭酸カルシウムの錠剤には、便秘や下痢など、腸内フローラが崩れて起こる現象が記載されていました。新ビオフェルミンSが解消しようとする症状が起こることもあるとは驚きですよね。
ただ、新ビオフェルミンSに含まれる沈降炭酸カルシウムはごく微量です。そこまでの症状に発展することは少ないでしょう。しかし、この先ずっと乳酸菌のためだけに胃酸をコントロールすることは、体の生理機能を壊す行為に他なりません。
本来沈降炭酸カルシウムは、胃酸過多で、胸やけやムカつきが出てきた時に服用する薬です。
新ビオフェルミンSと善玉菌のチカラ 販売区分は?
医薬品や食品は、効果や作用によって安全性が大きく変わりますので、販売方法を分けて管理しています。医薬品のうちでも、医師の処方でなくては手に入らないものと、そうでないものに分かれます。
販売規制 | ||
---|---|---|
医薬品 | 医療用医薬品 | 医師の処方 |
一般用医薬品 | 薬剤師・登録販売者のいる店舗 | |
医薬部外品 | スーパーやコンビニ等の小売店で販売可能 | |
食品 | 特定機能食品 | |
栄養機能食品 | ||
その他の食品 |
このうち新ビオフェルミンSは、スーパーやコンビニでも購入することができる「医薬部外品」に分類されます。医薬部外品は、効能が認められた成分が入っているものの、人への作用が穏やかであることから、このような販売方法をとっています。
新ビオフェルミンSも、効果は緩やかであり、安全性の高いものです。ただし、長期の服用を考えた場合には気になる成分が入っていますので注意しなくてはいけないんですね。
その点善玉菌のチカラは、食品に分類されますから、副作用の心配なく服用し続けることができます。
善玉菌のチカラであれば、クレモリス菌FC株が産み出したEPS多糖体に包まれて、腸に届きます。胃酸を弱めるなど、人間の生理的活動には一切手を触れず、腸内環境をピンポイントで整えてくれるでしょう。
新ビオフェルミンSと善玉菌のチカラの違いは、法的にも明確に区分されていて、薬(指定医薬部外品)かサプリメント(食品)か、という点がありました。
まとめ
善玉菌のチカラと新ビオフェルミンSは、どちらもお腹を整えてくれるものでしたが、長期的な服用をする場合には、見落としたくない注意点がありましたね。
新ビオフェルミンSに限ったことではありませんが、何か薬を飲む時は、光輝く効果だけでなく、闇の副作用にも着目するようにしましょう。物事には、必ず表と裏があり、表が脚光を浴びるほど、裏は暗く深くなるものです。
ただ、善玉菌のチカラに関しては、薬ではなくサプリという食品に分類されているので、副作用を持つことが禁じられているものです。副作用の心配がない善玉菌のチカラは、公式販売サイトからの購入が最安値ですからオススメです。