腸内フローラという言葉を耳にすると、何を連想されますか? お通じに深く関係している、あの腸内フローラ?と連想する方が大半ではないでしょうか。ですが、実際はそれ以外の体の臓器や精神にも影響を与えているということが、最近注目を集めているんです。
あなたの体の不調も、もしかすると腸内フローラが関係しているかもしれませんよ!
腸内フローラを元気にして、体全体の健康も手に入れませんか?
目次
腸内フローラの健康=あなたの体全体の健康!
腸内フローラの悪化で引き起こされるものとして、真っ先に思い浮かぶのは便秘や下痢など、腸が直接関わっているものでしょう。でも、実は腸内フローラの悪化によって引き起こされる体の不調はこんなにたくさん!以下の表にまとめました。
お通じなど | 便秘/下痢 口臭/体臭 |
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免疫・病気 | 生活習慣病(糖尿病、高脂血症、脳卒中、高血圧、心臓病など) 腎盂炎、大腸炎 大腸がん、乳がん 腸閉塞 過敏性腸症候群 非アルコール性脂肪肝炎 頭痛、めまい、肝性昏睡 食欲不振、吐き気 肩こり インフルエンザ、かぜ ぜんそく アレルギー(花粉症、アトピー性皮膚炎など) 関節炎 自己免疫疾患 |
美容 | 老化(細胞レベル) 肌荒れ、じんましん ニキビ/吹き出物 肌のシワ 髪の毛(抜け毛、薄毛、頭皮環境の悪化) 肥満 骨密度の低下 |
精神・神経系 | やる気 能力発達(自閉症、多動性障害、強迫性障害など) コミュニケーション 不眠症 不安感 うつ病 更年期障害 |
こんなにもいろいろな病気や不調に関わっているなんて、驚きですね。
これらの症状が見られ、「対策をとっているのになかなか治らない」という方は、もしかすると腸内フローラの悪化を原因としている可能性も考えられます。
腸内フローラに負担のかかりそうな生活習慣や食生活をしてはいませんか?次からの項目で、上記の体の不調が起こる謎を解明していきましょう。
腸内フローラ悪化でお通じが悪くなるのは?
多くの方が既にご存じであろう、腸内フローラの悪化によって最もよく起こる便秘や下痢。これらは腸内フローラの悪化レベルがまだある程度軽度である時に見られるとされていますが、そもそもどのように起こるものなのでしょうか?
便秘・下痢のストレスで腸内フローラが更に悪化?!
便秘・下痢と一言に言っても原因は様々ですが、最もよく見られるのは、腸内フローラが悪化して悪玉菌が優勢になり、蠕動運動(腸の動き)が低下することによって起こる便秘や下痢です。
腸と脳は密接な関係にあるため、便秘や下痢がストレスとなってイライラしたり落ち込んだりすると、これがまた腸内フローラを悪化させ……と、悪循環に陥ってしまうのです。
ストレス+腸内フローラ悪化で過敏性腸症候群につながることも
仕事や受験勉強など、現代人は慢性的なストレスや極度の緊張を感じやすい環境下に置かれていることが多いですよね。腸内フローラの悪化にこのようなストレスが加わると、下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群を引き起こすこともあります。
気付かぬうちに臭っているかも……口臭・体臭との関係
口臭は口腔内のトラブル、体臭も汗をエサに雑菌が繁殖して発生するものだと思われがちですが、実は腸内フローラが関係していることも少なくありません。
腸内で発生した臭いが外に漏れる?!
悪玉菌が優勢になった状態だと、脂肪やタンパク質が分解されにくくなってしまいます。分解されないままそれらが腐敗すると、悪臭を放つ有毒なガスが発生します。このガスは通常おならとして、または便と一緒に排出されますが、一部は腸管から吸収され血液に溶け込んで全身を巡り、呼気や汗に混ざって口臭・体臭となって姿を現すのです。
免疫力低下でかぜやアレルギー、生活習慣病にもつながる
意外に思われるかもしれませんが、腸内フローラは免疫力にも大きく関わっています。
腸は体最大の免疫器官!
腸には人間の体にある免疫細胞の約70%が存在すると言われています。腸内フローラが悪化すると、免疫細胞が過剰に反応したり、逆に働かなくなったりして免疫力が低下します。
免疫力が低下すればかぜやインフルエンザだけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病にもかかりやすくなるのです。
アレルギーは免疫細胞の過剰反応によるもの
普段は体内の細菌やがん細胞などを除去する役割を果たしている免疫細胞。これがアレルゲン(花粉や食物、動物の被毛など)に過剰に反応することで花粉症や食物アレルギーが起こります。
善玉菌には有害物質を除去したり、免疫が正常に機能できるよう助ける役割もありますから、腸内フローラが悪化すれば、おのずとそれらの機能も低下し、アレルギーも悪化してしまうことになります。
腸内フローラと花粉症に関係する記事は下記リンクより参照出来ます。
腸内フローラの美しさ=若さ?!美容面でも大いに影響あり
東洋医学では“顔は腸の鏡である”とも言われているほど、腸内フローラの悪化は顔に現れるのだとのこと。
肌荒れをも引き起こす便秘
腸内フローラとお通じの関係については先ほど述べましたが、便秘によって悪玉菌が増加し、毒素が排出されないのも肌荒れや吹き出物の原因になります。
これが原因であれば、いくら評判の良い化粧品を使って一時的に改善されたとしても、体外に毒素が排出されない限り、肌荒れは根本的には改善されません。
善玉菌は女性の味方・エクオールを生成している
善玉菌は、大豆をエサにしてエクオールという女性ホルモンに似た働きをする成分を生成しているということがわかっています。エクオールには更年期障害を軽減したり、美白やシワを薄くする効果があります。
腸内フローラが悪化して善玉菌が減ってしまえば、エクオールの生成も減ってしまうということですね。
肥満にも大きく関係している腸内フローラ
今までにいくつかのテレビ番組でも取り上げられたので、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、腸内フローラには通称デブ菌・ヤセ菌(いずれも日和見菌)なるものが存在し、体型にも影響を与えるとされ注目を集めています。
デブ菌とヤセ菌とは一体?
デブ菌と呼ばれるファーミキューテスは、消化後に不要となった余計なものまで体内に溜め込もうとする性質があります。
一方ヤセ菌・バクテロイデスは、脂肪を燃焼させたり余分な脂肪の蓄積を抑えるよう細胞や筋肉に働きかける作用のある短鎖脂肪酸を生成してくれています。
腸内フローラが悪化すれば、ヤセ菌までも悪者に
腸内フローラが良い状態に保たれていれば、善玉菌:悪玉菌:日和見菌の割合が2:1:7でうまくバランスをとって生息しており、ヤセ菌も効果を発揮してくれます。
しかし、ヤセ菌も善玉菌・悪玉菌のどちらか優勢な方に傾く性質のある日和見菌に属しますから、一度悪玉菌が優勢になるとそちらの味方について、体に悪影響な行動を始めるようになるのです。
デブ菌と痩せ菌について詳しく知りたい方は、下記ページも参照してください。
腸内フローラの悪化で不安感が増えて、うつ病にも
「腸と心が関係しているってどういうこと?」と思われた方が大半ではないかと思いますが、それには“セロトニン”という物質が大きく関わっています。
幸せ物質・セロトニンの約90%は腸内フローラに存在!
精神を安定させ、幸せを感じやすくすることから“幸せ物質”とも呼ばれているセロトニンですが、腸内で作られて脳に送られるため、その約90%が腸に、約2%が脳に存在しています。
腸内フローラが悪化すると、セロトニンがうまく脳まで送られなくなってしまい、セロトニンが不足してしまいます。この物質が不足すると、情緒不安定になってストレスに弱くなる、イライラしやすくなる、眠れなくなる、老けやすくなるなど悪影響だらけなのです。
体全体の健康のために、まずは腸を強くしよう!
これほどカラダへの大きな影響力を腸内フローラは持っているのですね。
一つの生命が誕生する時、一番初めに作られるのは腸だとされています。それだけ重要な臓器であるということですね。第二の脳とも言われている臓器でストレスダメージも大きい、ということはしっかりと覚えておきたいものです。
放置してしまえば大きな病気につながる可能性も
先ほども少し触れたように、便秘や肌荒れ、口臭などの不調であれば、腸内フローラの悪化レベルは比較的軽度であると言われています。
しかし、中度にまで進んでくると頭痛やめまい、食欲不振、肩こりなどを感じてくるようになり、最終的には腸閉塞や大腸がんなど命に関わる病気にもなり得ます。便秘などは「いつものことだから」とついつい放置してしまいがちですが、重症になってしまう前に対策を始めることをおすすめします。
腸内フローラが元気になればいいことずくめ
上の表を見てもわかるように、腸内フローラ悪化による不調は精神的なものから肉体的なものまで全身に出てきます。これといった原因が考えられないのに上記の症状が見られる場合には、腸内フローラの悪化を疑ってみましょう。
腸内フローラが元気になれば、食事がおいしく食べられるだけでなく栄養素も吸収しやすくなって、あなたの体の節々に現れている不調も解消できる可能性が高いのです!
腸内フローラ改善のための3ステップ
腸内フローラの健康が体全体の健康につながるということは、ここまででわかっていただけたかと思います。では実際に、どのようなことをしていけばいいのか、3つの手順をご紹介します。この3ステップを踏んで、少しずつでも着実に腸内フローラを改善していきましょう!
①腸内フローラを ”良くするor悪くする” ことには何があるか再確認
あなたの生活は腸内フローラを良くしているでしょうか、悪くしているでしょうか。再度確認してみましょう。
腸内フローラに悪いもの
- 肉中心・脂っこい食生活
- 不規則な生活(食事の時間含む)
- 外食が多い
- 食べ過ぎ
- ストレスや緊張だらけの環境
- 睡眠不足
- 運動不足
- 過度のダイエット
- タバコ・アルコール
- 抗生物質
- 胃腸の冷え
腸内フローラに良いもの
- 野菜が多い・和食中心の食生活
- 規則正しい生活
- 乳酸菌を多く含む食品の摂取
- 腹八分目
- サプリメント
- 青汁
- ストレスのない(発散できる)環境
- 十分な睡眠
- 適度な運動
②”良くしなきゃ”はやる気が続かない、”悪くしないようにしよう”なら持続できる
「腸内フローラを改善しなくちゃ!」と、どうしても一生懸命になって同時にいろいろと始める方もいらっしゃるかと思います。
「頑張ろう」という気持ちは素晴らしいですが、頑張り過ぎは時にストレスとなってしまったり、やる気を失ってしまうことすらあります。今までの生活をいきなり全部直そうとするのではなく、次の項目③のように一つずつ、小さな目標を設定してクリアしていくことをおすすめします。
③一つ一つ小さな目標を設定していって、一つ一つ効果を感じよう
まず①に挙げた中から「これなら比較的簡単に達成できそうかな」というものを、改善が必要な《悪い要素から1つ》、《良い要素から2つ》選びます。そして2週間毎日続けてみましょう。
人の体がある事柄を習慣として覚えるのには大体2週間かかりますから、2週間やってみて「まだ習慣化していないかも」と思ったらもう2週間続けてみてください。そして、最初に設定した目標が達成できたら次の目標を追加……と繰り返していきましょう。少しずつ効果を感じられた方が、やる気も長続きしてくれそうですよね。
まとめ
いかがでしたか?腸内フローラの状態がどれだけ体全体の健康を左右するのかわかっていただけたのではないかと思います。「昔から胃腸が弱くて」という方も、「最近体全体の調子が良くない」という方も、この機会に是非今一度腸内フローラにとって良い生活をしているかどうか再確認してみてください。
「今の生活じゃマズイ!」と思われた方も、今からでも遅くはありません。
腸から元気になって、美しく若さ溢れる健康体を手に入れましょう!