生命科学の成果のひとつとして、「腸内フローラ」が人体を健康に保つために重要な役割を果たしていることが分かってきました。
そして昔から健康食品として食べられてきたヨーグルトが、この「腸内フローラ」を良好に保つ働きを持っていることが認められ、優れた健康食品として新たに注目を浴びています。
そのヨーグルトを自宅で作りたいと思っている人も多いはず。安全性、コスパ、道具は?こんな素朴な疑問にお答えしていこうと思います。
目次
ヨーグルトの最も大きな働きは、腸内細菌のバランスを良好にすること!
乳酸菌で牛乳を発酵させたものがヨーグルトですね。この発酵という過程のおかげで、食品としてのヨーグルトは牛乳の豊富な栄養素を、より消化しやすい形で摂れるというメリットがあります。
そして最も注目されている働きは、乳酸菌による発酵の過程で生まれた「酸」です。腸内にいる悪玉菌を抑えて「善玉菌」を増やす手伝いをします。腸内細菌のバランスを整え、腸内環境を良く保つ働きをしてくれるのです。
その結果、腸内細菌が有害物質(インドールやスカトール、フェノール、ニトロソアミン、アンモニアなど)を排除し、さらには「栄養の吸収」と「免疫機能」のアップを図ります。人体を健康に保つための大切な働きをしてくれるのです。
正常に働く腸と腸内フローラがあるからこそ、健康な身体が約束されるのです。
先ずは、自作ヨーグルトと市販ヨーグルトの比較。
腸内フローラを健康へ導いてくれるヨーグルトですが、現在は様々な効能をうたったヨーグルトが各メーカーから続々と発売されています。「食べて美味しい」というだけで選ぶなら簡単ですが、健康のために自分の身体に合ったものを、しかもコスストパフォーマンスも考えて選ぶとなると迷ってしまいますね。
そこで、自作ヨーグルトと市販ヨーグルト、どちらがよりメリットが多いか比較してみました。
安全性はどうだろう?
自作ヨーグルトは、原材料となる牛乳やヨーグルトなどの種類や品質を自分の目で確かめることができます。言い換えれば、必要な材料で、必要な量だけ作るので余計なもの(添加物)を加えません。
一方、市販のヨーグルトの中には注意が必要な物質が含まれているものがあります。たとえば、香料、砂糖、甘味料(スプレンダ、アスパルテーム)などの添加物や、原材料として増粘剤(ペクチン、ゼラチン、ドライミルクパウダー)が使われているものあります。
また、なかには大腸障害や発ガン性疑惑のある物質が含まれていることもありますので、購入の際にはこれらを商品ラベルで必ずチェックする必要がありますね。
コストパフォーマンスは?
自作するのに市販品を種菌として使った場合、コスト的には1リットルの牛乳パック分を作らないと安くはならないという試算があります。
- どんなヨーグルトを作るのか?
- どれくらい食べるのか?
にもよりますが、一般的にヨーグルトの効果を得るためには、毎日200~300gのヨーグルトを最低2週間〜5週間ほど食べる必要があると言われています。
こう考えると少々手間はかかりますが、自作ヨーグルトの方が断然お得ですよね。
乳酸菌の強さに違いが?
ヨーグルト工場では、無菌室のような特別な環境で同一菌種を純粋培養しているので、菌の強さ(繁殖力)に変化はありません。
一方、自然界には環境由来の乳酸菌が多種存在していますので、家庭でヨーグルトを作る際には、これらの菌が空気中からどんどん侵入してきます。ですから、種継ぎを数回繰り返すと、環境に強い別の菌種に入れ替わっていきます。
また、発酵が進むと乳酸菌によってつくり出された「酸」で、腐敗菌などの雑菌が殺菌されますが、同時に乳酸菌自体の住み心地も悪くなります。そのため、熟成の進んだヨーグルトは乳酸菌の数が少なくなるばかりか、菌も弱っていくのです。
健康効果に優劣は?
ヨーグルトの健康効果には先ず、整腸作用があげられます。
乳酸菌の作り出した乳酸などによって腸内を酸性に保ち、腐敗菌や病原菌、ウイルスなどの侵入を防ぎます。また、酸に刺激されることで蠕動運動が活発になり、食べ物の消化吸収を良くし、便秘や下痢を予防します。
また、発がん物質の腸内での合成を妨げる「抗ガン作用」や細菌やウイルスに対する抵抗力を高める「免疫増強作用」もあることが確認されています。
この点では自作ヨーグルトも市販ヨーグルトも、その優れた整腸作用がもたらす基本的な健康効果は変わらないと言えるでしょう。
機能性ヨーグルトは自宅でも作れる?
近年の新しい菌種の開発で、整腸作用にプラスアルファの効能を付加した「機能性ヨーグルト」と呼ばれるものが出てきました。例えば、LB-81、BB536といった記号が付いた商品ですね。
インフルエンザやO157感染防御に効果があると話題になり、品薄状態になった商品もありました。
このように、ピロリ菌を抑制したり、コレステロール低下や尿酸値の低下を促進したり、様々な効果効能のあるこれらのヨーグルトに使われる菌は、もちろん乳酸菌、ビフィズス菌ではあっても、特別な菌種が使われています。
そのため、これらのヨーグルトを種菌として自作したとしても、同等のヨーグルトを家で作ることは困難といえます。
例外として、コレステロールの減少や免疫細胞の活性化、アトピー性皮膚炎に効果があるというクレモリス菌を使った「カスピ海ヨーグルト」は、種菌を販売していますから家庭で作ることは可能です。
乳酸菌とビフィズス菌は違うの?
生物学的な分類では乳酸菌とビフィズス菌は全く違います。でも、どちらの菌も人間の腸の中に存在する善玉菌です。
そして両菌ともヨーグルトや各種乳酸菌製品を作るのに使用されているために、便宜上「ビフィズス菌も乳酸菌の一種」とされています。
また、どちらの菌も糖を分解して乳酸をつくり出しますが、ビフィズス菌は乳酸だけでなく殺菌力の強い酢酸や、ビタミンB群、葉酸をつくり出しますので、その効能に特化した製品が続々と登場してきているのはご存知の通りです。
ビフィズス菌は自然界に広く生息している乳酸菌と違って、酸素があると生育できない特別な菌ですので、ヨーグルトを作るには特別な発酵技術が必要となり、自作ヨーグルトには向いていません。
ヨーグルトを自作する上での注意点
ヨーグルトを自作しようとするとき、一番気になるのが「市販品と同じ効能があるのか?」ということです。はっきりと申し上げると、何かに特化した効能をうたっている市販品と同じ効果を自作ヨーグルトに期待するのは難しいでしょう。
しかし、ヨーグルトの持っている基本的な健康効果は変わらないので、以下の点に気をつけて、ヨーグルトの手作りをお楽しみ下さい。
消毒と雑菌混入対策
自作ヨーグルトで一番重要なのが消毒です。
使用するすべての容器や道具類は、沸騰する大きな鍋などに入れて消毒しましょう。電子レンジ対応の容器なら、レンジでの高温殺菌でもOKです。また容器に触れるタオルなども、殺菌したものを使用するようご注意ください。
種継ぎについて
市販のヨーグルトや友人から分けて貰った種菌を使って作った場合の注意点は、種継ぎの回数です。2回目からは自作ヨーグルトを種菌として使いますが、これを数回くり返すと菌の力が弱くなります。
うまく発酵が進まない、異臭がしだしたら迷わずに廃棄して、新しいものに交換しましょう。
賞味期限はどのくらい?
基本的にヨーグルトは、乳を乳酸菌によって発酵させて発生する酸により、雑菌の繁殖しにくい状態にした保存食です。
とは言え、乳酸菌の発酵はどんどん進みます。
市販品の賞味期限は15日間程度ですが、自作ヨーグルトは雑菌の浮遊するキッチンで、しかも40℃前後という腐敗菌の好む温度で作ることになります。賞味期限と言うより“消費期限”は5日間位、と考え、早めに食べきるようにしましょう。
ヨーグルトメーカーは必要?
健康効果を目的にヨーグルトを作るならば、ヨーグルトメーカーは必需品と言えます。自分に合ったいろいろなヨーグルトを試作するのにも便利ですし、何と言っても面倒な温度管理がいりませんからね。
でも、完全手作りを楽しみたいなら、台所にある道具を工夫すれば大体間に合います。一般的な乳酸菌は40℃前後で活発に働きますので、寒い時期なら容器をコタツに入れたり、炊飯器を利用したりして、ヨーグルトが出来上がるまでの5〜6時間、適切な温度管理と見守りをしましょう。
市販品 vs 自作品 、いかがでしたでしょうか。市販品 vs 乳酸菌サプリは、こちらで特集しております。
>>ヨーグルトで腸内フローラや体質改善を目指している方へ
おすすめ、自作ヨーグルトレシピ
ここではヨーグルトメーカーを使用しないでも簡単にできる「カスピ海ヨーグルト」と、炊飯器を使った一般的なヨーグルトのレシピをご紹介します。
今話題のカスピ海ヨーグルト
<用意するもの>
- 成分無調整・未開封の牛乳 1パック(1リットル入り)
- 種用のカスピ海ヨーグルト 70〜100ml
- ティッシュ1枚、輪ゴム、柄の長いスプーン(熱湯消毒済み)
<作り方>
- 未開封の牛乳を電子レンジで1分間温めて消毒(40℃目安)
- パックの上蓋を開き、種を瓶から直接中に流し込む。
- スプーンで良くかき交ぜ、ティッシュを被せて輪ゴムで止める。
- 常温の室内に置いておく。20℃〜30℃(27℃が適温)
- 6〜20時間くらいかかるが、押してみて固くなったらフタを開けて確認。
- プルプルと固まっていたらOK
炊飯器でつくる、コスパの良いお手製ヨーグルト
種菌として使うヨーグルトは、名前の通ったブルガリアヨーグルトなどでもちろんOKですし、プロバイオティクスと表示のあるコンビニブランドやトップバリューブランドも品質は良く低価格なのでおススメです。
<用意するもの>
- 成分無調整・未開封の牛乳 1パック(1リットル入り)
- 種用のヨーグルト(一般のプレーンヨーグルト) 70〜100ml
- 炊飯器(内釜と内蓋:熱湯消毒)
- スプーン(熱湯消毒済み)
<作り方>
- 炊飯器に種と牛乳を入れ、良くかき交ぜる。
- 保温モードで1時間半。温度は40℃前後が目安(45℃以上では乳酸菌が死滅する)
- 炊飯器のスイッチを切り、5時間ほど放置しておく。
- 蓋を開けて、固まっていたらできあがり。
まとめ
ヨーグルトには様々な効能、効果があることはお分かりいただけたと思います。でも、本当に健康な身体を作るには、食べ物を中心とした生活習慣の改善ではないでしょうか?
そのための方法のひとつとして、自作ヨーグルトはベストチョイスと言えます。ヨーグルトのレシピは、ネットに溢れています。あまり難しく考えず、どんどん自宅での手作りを楽しんでくださいね。
こちらをご一読の上、腸内環境を改善していきましょう。
>>ヨーグルトで腸内フローラや体質改善を目指している方へ